Successful Failure -短編集-
父は、無口で、気難しく、母は、優しく、穏やかな人だった。
私にとっては、大事な大事な家族。
そんな家族を失って悲しくないわけがない。
やりきれなかった。
そこで、その気を少しでも紛らわそうと深夜のコンビニで万引きをしてみたが、小さな事務室に「杉田」という店員と向かい合わせに座っていて気づいた。
これでは、両親がやりきれない。
これは、私の手でSに復讐をしなければならない。
私の手でSの家族を、恋人を、友人を殺さなければ、ダメだ。
大事な人を失うつらさを身をもって感じさせなければならない。
そして、私に、父に、母に懺悔させたところで、S自身も殺さなければならない。
そう思った。