Successful Failure -短編集-




工場長に4日どころか、妹の看病のために、俺は、会社を辞めることにした。



工場長は、優しい方で、「妹さんが元気になったら、いつでも戻ってこい」と言ってくれたが、そんな優しい方に迷惑をかけるわけにはいかなかった。



妹は、明るく振る舞った。



つらい抗がん剤の治療にも耐え、女の命である髪の毛が抜けて行っても、「尼さんだね」と笑って鏡を見る。



本当は、不安で仕方ないはずなのに。
そういうところは、母に似たのだと思う。



俺はというと、その日をなんとかやっていくのに必死だった。



食事が食べられないとか、そういうのは、全然よかった。
妹のつらさに比べたら、たかだか断食をしているようなものだ。



つらかったのは、妹の大学費用や、結婚費用、修学旅行費にと貯金していたお金を少しずつ使っていかなければいけないということだった。



ガスと電気は止められ、ケータイも解約した。



唯一無二の妹へと俺の全神経を注いだ。



そして、一縷の希望が見えた。



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