Successful Failure -短編集-
中には、誰もいない。
護身用にナイフを持っていくか迷ったが、持ってこなくて正解だった。
預金通帳の場所は、大方わかっている。
脱サラして老後を農作業をしてすごしているくらいだ。
貯金通帳の額もかなりあると見た。
通帳は、予想通り、桐ダンスの引き出しにあった。
と、その時だ。
「誰や!!」
慌てて振り返ると、50代くらいのおじさんが立っていた。
家主だ。
ばれた。