Successful Failure -短編集-
オレは、拳の血を服の袖で拭きながら屋上の階段を大急ぎで駆け降りた。
美沙子の話では、待ち合わせの場所に美沙子がつるんでる他校の友達送り込んで、やきを入れるって話だ。
「キックボクシングかじってるような奴らが6人だから、いくら相手が暴走族の総長でもあの人数は無理だねー」
なんて、言いながらケータイで写メを強要する美沙子をオレはぶん殴った。
そして、転げ落ちたケータイを真っ二つに降り、再び美沙子の顔面を蹴り飛ばした。
こんなこと、生まれて初めてだったが、そんなことはどうでもいい。
真帆が危ない。
ケータイは繋がらない。
いくらかけても繋がらない。
そして、待ち合わせ場所に着いた。
そこには、真帆の姿はなかった。
ただ、真帆は確かにそこにいた。
今の今までいたはずだ。
そこには、真帆の生徒手帳が落ちていたのだ。