Successful Failure -短編集-

狂犬の優馬(他)





墓参りを終え、オレは、待たせてある側近の優馬と須藤の元へ行った。



「よお、終わったか?」



「おばあさんの墓参り、お疲れ様っす!」



ちなみに、真帆のことは誰にも話していない。



だから、「送りますよ!」とうるさい須藤と「何かあった時のために言ってやるよ」と過保護な優馬には、「ばあちゃんの墓参り」だと言ってある。



「総長。なんか食べに行きませんか?オレ、出しやす!」



「いいよ別に」



「いや!いつもおごってもらってばっかなんで、たまには出しやす!」



「そうだぜ?総長」



今では気前のいい、オレに慕ってくれてる二人だが、出会った当初は手をつけられないほど悪かった。



特に、「狂犬」の二つ名を持つ優馬は、この辺では、知らない者はいないほどのやんちゃぶりで、実は、オレも「黒中の優馬はやばい」ということを知っていた。



そんな優馬と出会ったのは、オレがグレ始めた最初の月。



夜のコンビニの前だった。



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