Successful Failure -短編集-




「わあー!綺麗・・・」



液晶モニターには、この街の夜景が画面いっぱいに広がっていた。
それはまるで・・・



「宇宙・・・みたい」



「だろ?けどさー、うちのじいさん、が言うんだよ。"俺たちの普段見ている夜景は、サラリーマンの残業でできてるんだぞ"ってさ」



「あははっ、なんか山縣さんのおじいさんらしいね」



「けど、俺はその灯りの一つ一つには、それぞれ違った形の愛とか、夢とか、希望とか。そういうのが詰まってると思うんだよ。だから、こんなに綺麗に見えるのかなって・・・なんかくさいな」



「ううん。私もそう思う」



それから山縣さんは一時間ほどシャッターを切り続け、私は夢中になる山縣さんのそばで、飽きもせずずっと見ていた。




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