Successful Failure -短編集-
同じ朝勤の戸田さんはというと、いつも遅刻してくる。
大体、10分程度だ。
今朝もいつも通り、勤務時間10分過ぎて、階段を駆け下りてきた。
「ごめんごめん。遅れちったー」
ちなみに、ここのバイトをしてから1年半位経つが、戸田さんが既に来ていて、「おはよう」と言うところを俺はまだ見たことがない。
「昨日の夜勤、誰だった?」
制服に袖を通しながら戸田さんが聞いてくる。
「山下さんと店長ですよー」
「あー、山下さんかー」
戸田さんは、山下さんより1つ年下になる。
つまり、俺が20歳。戸田さんが21歳。そして、山下さんが22歳というように、階段になっている。
「山下さん、なんか言ってなかった?」
「なんか、5000円合わなかったらしくて、店長が一晩中、機嫌悪かったらしいですよー」
「そりゃ災難だわ。あとで、LINEしとこー」
この3人でグループラインを作ってある。
大方、話の内容は、バイトの話か飲みに行く話、あとは、スタンプ攻撃で埋まっている。