Successful Failure -短編集-




橋の下は、車が走っている。
橋というより、歩道橋に近い。



ただ、その橋からは大きなスカイツリーが見えた。
ライトアップはされていなかったが、スカイツリーだとわかるくらい、近くで見えた。



俺は、ベンチに座ってブランド物のカバンをゴソゴソしている女性の横の席一つ開けて座った。



「あれー?どこいったっけなー」



女性は、カバンをゴソゴソしながら何かを探している。
それを俺は、「何を探しているんですか?」と聞くことはせず、ただじっと見ていた。



「あれ?まさかさっきのスタバに忘れてきたかなー」



今からあのスタバに戻るとなると、終電は確実になくなる。
諦めたほうが賢明だろう。



すると、女性は諦めたのか、カバンを漁るのをやめた。
そして、俺の顔をじっと見つめ、



「ねえ、じゃんけんしよっか」



そう言った。



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