Successful Failure -短編集-




「じゃあ、今度はアタシの質問。君ってさ、なんでいつも同じ時間の電車に乗ってるの?」



質問の意図が読めない。
答えは明確だろう。
想像することもできるだろう。



「それは、バイトの時間が同じだからですよ」



そう答えると、女性は納得したような顔を見せた。
どうやら、そこまで想像することは、この女性にとっては難しいことらしい。



第一、そんなこと珍しいことではない。
東西線に乗るサラリーマンの中にもいつも同じ電車に乗って同じ時間に出社する人だって大勢いるはずだ。



女性は、質問を続けた。



「ねえ、君ってさ、サイゼリアとかよく行く?ほら、あの交番の角の通りにあるとこ」



バイト先の隣の隣くらいの場所だ。
よく山下さんや戸田さんと行く。
俺は頷いた。



「そこで何食べるの?」



「んー、ハンバーグステーキにライスですかねー」



「なるほどーじゃあ、マックでは何頼むの?」



「マックは、ビックマックセットにナゲットですかね」



「じゃあ、ドトールは?」



「アイスカフェモカですね」



「丸亀製麺は?」



「ぶっかけうどんの大を温かいやつ。あと、トッピングで温玉とレンコン天ですね」



こんな事を聞いて何になるのだろうか。
ただ、俺はあることに気づいた。
気づいた3秒後くらいに女性は、言った。



「君ってさ、何でも同じこと、同じものしかダメなタイプだよね?」



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