ジサツストッパー〜これから自殺する人へ会いに行く〜
しばらく、沈黙がつづいた。
オッサンは、落ち着いた。
セミの脱け殻みたいになっている。
俺の一撃で目が覚めたらしい。
ひとしを演じきった。
あれっ?ひとし、だったっけ?
「すまない。少年」
オッサンから、しゃべりだした。
「うっ!!いいよ」
本当は物凄く、ツッコミたい。我慢。
「わたしの息子は君くらいの年だった。まだ、高校生だったのに」
「さっきから、どんだけ若く見てんだ!俺は26、26歳。お・と・な」
「えっ!そうなのか。わたしはてっきり、未成年者だと思っていた。すまない。でも、君の目はとても、キラキラしている。好奇心に満ち溢れている。素晴らしい」
「ありがとぅ」
どうせ童顔だし。
「しかし、君は敬語という物を知らんのかね?」
「本気で話す時は、タメグチになるんだよ」
本気なんだよ。
「あぁ、わかった」
「えっ!わかったの?」