うそつき王子の秘密のキス
 普通、少女マンガとか、少女小説に出てくる女の子達って、眼鏡を取ると美人になったりするもんだけど。


 わたしの視力なんて、両方の目ともぴかぴかの1.5。


 取ってイメージの変わるモノなんてつける意味が無い。


 話題だって皆の好きな、ファッションやら、ブランドのことなんて、さっぱり判らず。


 スマホで投稿サイトを眺め。


 ボカロの曲を、人間の歌い手さんが歌ってるのを聞いたり。


 あんまりメジャーじゃないけどイイ曲を探して一人で喜んでるのが、オタクっぽいって自分でも判ってる。


 しかも、コミニュケーション障害寸前ぐらいヒトと話すの苦手な、根暗だし。


 うう、考えてみると、わたし一つもイイ所の無い。


 こんなわたしと相合傘なら、井上君も迷惑だろうな。


 あ~~あ、ヤダなって。


 落ち込むわたしに、騒がしく入って来た女子たちが、追いうちをかけるように笑った。


「ね~~ね~~泉川さぁん。
 あたしたち、アンタがヒトと話すの苦手なの知ってっからさ~~
 ちゃあ~~んと、お手伝いして来たんだよ~~」


 彼女たちは、あはははっと笑うと、わたしの目の前の机の上に、どさっと紙の束を放り出した。


「な、なにこれ……」


 いきなり言われて呆然としているわたしに、女子のリーダ格の佐野さんがイヤねぇ、泉川さんって、天然? って肩をすくめる。
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