うそつき王子の秘密のキス
オレの方は、心の中で首をかしげているって言うのに。
当の岸さんは、今日もご機嫌にオレの背中まである長い髪を洗うと、もう一度鏡の前に連れて来た。
「で? 今日もまた、毛先だけでいいよね?
奏太の髪はそもそも素材が良いし、この僕が責任持って守ってるから、いつもさらさら。
長い髪でも重くは見えない、爽やか系王子様カットがぴったりで~~」
なんて。
放っておいたら、ご機嫌な鼻歌交じりで、勝手に仕事を始めそうな岸さんの服を引っ張って止めると。
ポケットから真新しい生徒手帳を取り出して、ぺしぺし指で弾いた。
その様子を見て、岸さんは、驚いたように目を見張る。
「え……っと、今日は……新しい学校の校則に引っ掛からない程度に……その。
ばっさり、切りたい……と?」
そう! 大当たり~~!
今まで通ってた君去津高では、学校側に『AN^NA』のモデルを『生活費を稼ぐ仕事』としてやってることを説明してたし。
それにCards soldierで歌ってることを『部活動』と称して。
染めないことと、授業中はきっちり結んでいることを条件に、長髪を許可してもらってたけどな。
全部を無くして、転校の手続きが済んだ今では、長い髪でいる理由がねぇ。
それに、何より。
髪をばっさり切って、気分も変えてみたかった。
当の岸さんは、今日もご機嫌にオレの背中まである長い髪を洗うと、もう一度鏡の前に連れて来た。
「で? 今日もまた、毛先だけでいいよね?
奏太の髪はそもそも素材が良いし、この僕が責任持って守ってるから、いつもさらさら。
長い髪でも重くは見えない、爽やか系王子様カットがぴったりで~~」
なんて。
放っておいたら、ご機嫌な鼻歌交じりで、勝手に仕事を始めそうな岸さんの服を引っ張って止めると。
ポケットから真新しい生徒手帳を取り出して、ぺしぺし指で弾いた。
その様子を見て、岸さんは、驚いたように目を見張る。
「え……っと、今日は……新しい学校の校則に引っ掛からない程度に……その。
ばっさり、切りたい……と?」
そう! 大当たり~~!
今まで通ってた君去津高では、学校側に『AN^NA』のモデルを『生活費を稼ぐ仕事』としてやってることを説明してたし。
それにCards soldierで歌ってることを『部活動』と称して。
染めないことと、授業中はきっちり結んでいることを条件に、長髪を許可してもらってたけどな。
全部を無くして、転校の手続きが済んだ今では、長い髪でいる理由がねぇ。
それに、何より。
髪をばっさり切って、気分も変えてみたかった。