Fun days

試合1-4

美桜は佐々木と交代した山田を、一生懸命撮っている。
本当に律儀だ。
何故か責められているような気になる村田。

「村田、ちょっと。」

佐々木が声をかけてきた。
手招きして、ベンチから離れていく。

「どうしたの?佐々木、試合見なくていいの?
 副キャプテンが遊んでたら、健吾怒るよ」

「うん。ちょっとだけな。…他校の子が
 村田君て彼女いるんだねって言ってたけど。
 本当?」

ハッとした顔になる村田。

「…そうなんだよ。俺、嘘ついちゃったんだよ。
 佐々木助けて。どうしよう」

すがるような目の村田。

「なんだよ。嘘かよ。」

呆れる佐々木。

「絶対、美桜に怒られるよ…
 夏休み始まったばかりなのに、終わっちゃうよ…
 どうしよう~」

涙目になる村田。

「…わかった。俺からあとで言うから」

村田の肩をたたいて、佐々木はベンチに戻る。

その背中を見ながら、
佐々木がいてくれて本当に良かった、と思う村田。
絶対になんとかしてくれそう。
あー、良かった…しみじみと思う。
俺は一生、佐々木についていく。
そう心に決めて、ベンチに戻り、
佐々木と美桜の間に座る。

美桜が村田を見る。

「杏子ちゃんは、今日ずっと審判やるの?」

「いや、次の試合はやらないと思うよ」

肩の荷がおりて、笑顔で答える村田。

「そうだよね。ずっとじゃ疲れちゃうよね。
 ね、次の試合も撮ったほうがいいかな。
 他校の人たちも、きっと喜ぶよね」

「うーん。でも、美桜が疲れないようにして。
 それに、俺もう一試合出るから。
 そっち撮ってよ」

「はいはい。ちゃんと撮りますよ」

笑って答える美桜。
満面の笑みを返す村田。

ふと、隣の佐々木を見ると、
見下した目で村田を見ていた。

すいません、と思って小さくなる村田だった。
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