Fun days

他校

第一試合が終わり、少し長めの休憩に入った。

「美桜、散歩行く?」

笑顔で聞く村田。
犬みたい、と思う美桜。

「ちょっと、杏子ちゃんと話してくる」

伸びをしながら美桜が立ち上がると、
佐々木も立ち上がって、美桜に話しかけた。

「美桜ちゃん、ごめん。他校の子に
 村田の彼女だって言っちゃった。」

佐々木の行動の早さにびっくりする村田。

「…そうなんだ。まあいいよ。
 色々聞かれて面倒だしね」

佐々木君ならしかたない、と思う美桜。
そう思いながらも、顔が熱い。

「ごめんね。」

「うん。大丈夫。」

とは言うものの、照れくさい。
佐々木君には心を読まれそう、と思って
直視できない。

美桜が目をそらしている隙に、
佐々木は村田に一瞥をくれる。

佐々木の冷たい視線が村田に突き刺さる。
息を呑みながらも、反省している顔を作る。
本当に申し訳ない、と思おうとするが
安心で顔が緩みそうになる。

「美桜ー、村田と付き合ってるの?」

突然、健吾が爆弾を投げつけた。
固まる美桜。青ざめる村田。

「今日だけ、そういうことになってる」

すぐに佐々木がフォローを入れる。

「なんじゃそりゃ」

健吾が言うと、杏子もやってきて

「美桜ちゃん、村田君と付き合ってるって本当?」

びっくりした顔で言っている。

「今日だけ、な」

佐々木がまた言う。

美桜は疲れた顔で

「…ちょっと散歩に行ってきます。」

と言って、体育館のドアに向かって行った。

「俺も…」

行こうとする村田を、佐々木が止める。

「お前はちゃんと説明をしろ」

見たことがないほどに、怖い顔の佐々木。
もう誰も助けてはくれない、と察する村田だった。
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