Fun days

説明

村田はベンチの前で正座をさせられている。
ベンチには佐々木、健吾、杏子が並んで座る。

「すみませんでした」

とりあえず土下座をする村田。
はやく許してもらって、美桜と散歩したい…

「それじゃ、わかんねえよ」

佐々木が言う。

「…お前、佐々木をこんなに怒らせるの、俺くらいだぞ」

健吾が驚いて言う。

「何で嘘ついたの?」

杏子が聞く。

「彼女ですか?って聞かれたから、はいって言いまし…」

「何でそんなこと言うんだよ」

佐々木が村田の言葉を遮る。

「いや、あの…」

美桜に怒られたほうが良かったかな…

「まあまあ、説明がめんどくさいもんな、村田」

健吾がフォローする。
こいつ本当はいい奴なんだな…
頷く村田。

「お前、説明が大変だっていつも言うけど、
 友達だって言えばいいだけだろ」

佐々木の言葉にはっとする村田。
そうか。
そうかもしれない。
でも…

「ただの友達じゃないし…」

「そんなこと、赤の他人に説明しなくてもいいんだよ。
 お前が心の中で思ってればいいだろ」

更に怖い顔になっていく佐々木。

「いや、村田は正直だからさ、誰にでも言っちゃうんだよな」

健吾のフォロー。力なく頷く村田。

「言われたほうの身になってみろよ。
 美桜ちゃんの気持ち、考えろ。」

健吾の言葉を聞かずに、佐々木は言う。

迷惑だろうな、美桜は。
彼女じゃないのに。
嘘、嫌いだし。
しかも、すごい広まってるし。
せっかく写真撮るのを、楽しみに来てくれたのに…

「…俺、どうしよう」

やっぱり涙目で佐々木に聞く村田。

「ちゃんと謝りな。美桜ちゃんに。
 話せばわかってくれる子だろ?」

頷く村田。

「…美桜のところに行ってくる」

思いつめた顔で言う。

「ちゃんとフォローするから、な」

健吾が言ってくれるが、あまり安心できない。
佐々木を見上げると、頷いて

「…はやく行ってあげな」

と言った。
村田は立ち上がって、外へと走った。
< 51 / 70 >

この作品をシェア

pagetop