Fun days

第二試合

体育館に近づくと、他校の人がちらほらといる。
みんなこっちを見て、何か話している。
この二人はつきあっているんだな
と思われているのかと思うと、恥ずかしくなる美桜。
本当にそう言ってるのかなんて、
わからないのに変なの。
さっき、村田と二人きりの時は、平気だったのに。

体育館に戻ると、試合は始まっていた。
杏子が駆け寄ってくる。

「美桜ちゃん、大丈夫?」

「う、うん、大丈夫だよ」

どういう意味かな?
まあ色々な意味で、だろうなあ…
…やっぱり恥ずかしい。

「…杏子ちゃん、ごめん、ちょっといい?」

「うん。体育館の裏に行こうか」

美桜の表情を見た杏子が、察して言う。

「村田君、ちょっと美桜ちゃん借りるね」

「…うん」

ベンチを見ると、不機嫌そうに佐々木が睨んでいる。
一人であのベンチに帰るのは
とても気が重いけど、仕方ないと思う村田。


美桜をつれて外に出た杏子は
体育館の裏の階段に腰掛けた。

「美桜ちゃん、ここは誰も来ないから大丈夫だよ」

「ありがとう。…なんか恥ずかしくて死にそう」

顔を手で覆って言う美桜。

「ふふ。美桜ちゃんも、村田君に負けずに素直だね」

「そうかな…自意識過剰かと思うんだけどさ、
 みんなが私と村田を恋人同士として見てると思うと
 恥ずかしくて…」

美桜ちゃんて、本当にかわいいなあ、
と思いながら杏子は言う。

「そっか。でも、みんな前から、美桜ちゃんと村田君は
 恋人みたいなものだと思ってるよ」

「え?そうなの?」

「うん。だから、みんなの見る目は変わってないから。
 気にしなくていいと思うよ。」

「それはそれで、恥ずかしいね…」

「そう?仲良しで羨ましいけど」

誰かを思っているような杏子の顔。

「杏子ちゃんは、誰と仲良くしたいの?」

突然の質問に驚く杏子。

「私のことはいいよ。…体育館行こうか。
 きっと村田君、小さくなってるよ」

頷きながらも、はぐらかされたことが寂しい美桜。
きっと健吾のことなんだろうけど…

でも、みんな恋をしてるんだな。
別に恥ずかしいことじゃないか。
まあ、私は彼女のふりだけど…。
そう自分に言い聞かせるが、体育館に入ると、
やっぱり少し恥ずかしい美桜だった。
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