Fun days

素直

美桜が杏子と外に行っている間、
村田は意を決して、佐々木に話しかけた。

「美桜に謝りました。すみませんでした」

丁寧にお辞儀をする村田に
ふっと笑って佐々木は言う。

「許してくれた?」

「はい。今日一日だけ、彼女になってくれます」

佐々木の隣に座って村田は言う。

「良かったじゃん」

「はい。ありがとうございます」

「じゃ、最後の試合、フルで出てな」

フルか…色々と疲れたけど、しかたない…

「…はい。がんばります」

「…お前はいいなー、素直になれて」

佐々木の顔を見る村田。
素直になっちゃいけないのかな、佐々木は。
どういうことなんだろう。
…全然わからない。
困惑していると、佐々木が続けて言った。

「打ち上げ、楽しみだなー。
 …あ、美桜ちゃんに言ってある?」

「言ってない」

目を丸くして村田が言う。

「来てくれるといいねー」

佐々木の言い方が冷たい。
これはきっと自分で言えってことだな…
来てくれるかなあ…。…彼女として。
ふっと笑ってしまう村田。
いやいや、喜んでいる場合じゃない。

「あ、美桜ちゃん来るぞ」

言いながら佐々木が顎で、行け、と命令する。
ダッシュで美桜まで走る村田。

「美桜、今日、試合が終わったら
 打ち上げがあるんだけど…」

「えー…」

夕方までの辛抱だと
自分に言い聞かせていたところだったのに。

「美桜ちゃん、行こうよ」

そばにいた杏子が誘う。

「うーん。杏子ちゃんが言うなら…」

「じゃ、決定ね」

意外と強引な杏子。

「良かったね、村田君」

「うん。ありがとう。佐々木に言ってくる」

ダッシュで佐々木まで戻る村田。

先は長いなあ、とため息をつく美桜だった。

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