Fun days

試合3-3

その後、休憩しているみんなの写真を撮った。
最初の試合よりも疲れていて、みんな全然笑わない。
負担にならないように、
望遠レンズで遠くから撮る事にする。
みんなお疲れ様、かっこよかったよ、と思いながら、撮る。

ベンチに座る村田がこっちを見ている。
そういえば、休憩している村田は撮ってなかったな。
かっこよかったよ、とまた思いながら撮る。
どきどきする。
好きな人を撮るのと同じだな。
何だか、みんな愛しい。

ハーフタイムが終わって、また試合が始まった。

美桜の隣には、杏子が座っている。
写真を撮るついでに、杏子の横顔を見る。
やっぱり健吾を見てる。
恋する瞳…。つられて、きゅんとする。
よし、サービスで健吾を撮っておこう。
あ、村田のお詫びに、佐々木君もたくさん撮ろう。

「美桜ちゃん、練習にもまた来てね。
 この前たくさん話ができて、楽しかった」

試合を見ながら、杏子が言った。

「うん。私も楽しかった。
 でも、いつもおしゃべりしてていいのかな」

この前は、みんな練習してるのに、
ずっと話してて、写真も全然撮らなかったし…
邪魔しに行ってるみたい。

「じゃ、飲み物を用意するのとか手伝ってよ」

「うん、手伝う。杏子ちゃんはマネージャーなの?」

「そうだね。雑用って感じ」

「審判もやるし、すごいね。」

「高校の時、バスケ部だったから。」

「そうなんだー…」

何で今はマネージャーなんだろ?
と思っていたら、最後の休憩に入った。

「お疲れ様」

村田にタオルを渡すが、
笑顔もなく、無言で座り込む。

「村田、疲れて動き悪いんだよ。
 美桜、彼女でしょ。何とかして。」

健吾が無茶振りをして立ち去る。
杏子はみんなに声をかけている。
…誰も見てないな。

美桜はカメラをベンチに置いて、村田の前に座る。
村田が外したリストバンドを、美桜は広げて持ち
村田の手をつつむように握りながら、リストバンドをつける。
そして、村田の手を膝に置き、手の甲を握りながら
リストバンドの形を整えた。

硬直しているような表情の村田に、
美桜は微笑みかけてベンチに戻った。
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