紙飛行機にのせて…
「熱か?」

「うっさい!」

立ち上がり、レントゲン室を出ようとする。

「お?なんか落としたよ。写真?」

バッと、振り返る。
詠一が、あの写真を拾うところだった。


それより素早く取ろうとするが、既に遅し。


「可愛いですね!あれ…琴美?横にいるのって…誰?」


慎也は、最悪だと思った。
けど、その思いは一瞬で断ち切った。

素早く取り上げたからだ。


「あー!」

「五十嵐詠一、お前には関係ないだろ。」
詠一を睨んだ。

「写真。持ってたのか?」

「別に。話終わったでしょ?帰るから。」

再び、レントゲン室を出ようとする。


「あ、そうだ!慎也、お前、琴美ちゃんと会ってるって、本当だが…

詠一君とは…写真撮った時はいなかっただけだからな。」


「あっそ。」
ピシャン


スライド式のドアを閉め、慎也は階段を降りて、病院を去った…


——————…

< 120 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop