紙飛行機にのせて…
「うん、邪魔しない程度…だけどね。」


ほんの少し、考えて、
「いえ。やめておきます。」
と、慎也は言った。

「そっか。」

じっと、
ガラス張りのウィンドから手術を見る。


「…母さん。」

「大丈夫だよ。名医さんだからね。」

「はい…」
ぎゅっと、拳を握る。


-カチ
何処かのスイッチを押した音が出た。


「心肺停止!」

「心臓マッサージ!唯香!」
手術室の声が、響いた。

どうやら、スピーカーのスイッチが入ったようだ。


「あれー?スピーカーのスイッチ、押しちゃった?誰か。」


『唯香さん、聞こえますかー。』

『唯香!』


慎也は、血の気が引くのが分かった。
「母さん…」


ガラスのウィンドに手をべったりつけ、

「母さん!」
叫んだ。

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