紙飛行機にのせて…
この時はまだ、慎也の父親は病院の医院長になっていなかった。

なぜなら、慎也の祖父が健在していたからだ。



「慎也、新人いびりするな。」

「だって〜、退屈だったんだも〜ん☆」

琴美は、ポカンと口を開けた。


「あ、花戸さん。」

来た医者と琴美の母親が挨拶を交わして、診察室を出た。

琴美も一緒に…


***

「ねぇ、おかぁさん…男の子、だれだったの?」
帰り道、琴美は聞いた。


「んー?どうしたの?」

「男の子と仲良くなりたい…」

琴美は、この時は重病人ではなかった。
軽い喘息を持っているだけだった。


「フフ。あの子はね、次期医院長先生の息子さんよ。」

「ふーん…」

琴美は胸が少しだけうずいた気がした。

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