shine
「さすが瞬!
我が青峰中学校のエースだ」
試合終了後、コーチに背中を叩かれた。
「ありがとうございます
でも、ゴールを決めたのは俺ですけど、
パスでつなげてくれたのはみんなですよ」
軽くはにかみながら答える。
でも正直、俺の力が全国大会にみちびいたと思っている部分もある。
エースと呼ばれてまんざらでもないのだ。
「いやあ、さすが永井君
すばらしいシュートだったね」
手をわざとらしく叩き、近づいてきたのは
サッカーの超強豪校と言われる日丘高校のサッカー部コーチだった。
「これはこれは、原山先生
来てくださいましたか」
コーチは下手に出て、揉み手をしながらへられら笑う。
「ええ、永井君のことは有名ですから
中学3年生とは思えないほど技術がある…と」
県大会だというのに、噂はすぐに広まるものなんだな…。
ぼんやりとコーチ同士の会話を聞いていると、原山先生は俺に向き直り、優しそうで穏やかな目を細め、
「君はきっと、将来、世界で活躍するプロになれる
全国大会での活躍を期待しているよ」
と言った。
「あれは遠回しに日丘入学を、推薦しているな…
がんばれよ!瞬!」
コーチは俺にそう投げかけ、がらじゃない鼻歌を歌いながら他の生徒の頭を撫でていた。