クローバーの約束。




「忘れないうちに…」











湊くんが寝たのを確認して
スケッチブックを取り出す






前髪をあげた湊くんを描こうと決めたんだ





スラスラーっと頭の中で出来ている線を
描く





細かく、再現できるように


丁寧に丁寧に…











「んー…違うなぁ…」











湊くんを描いて何になるわけでもないけど

あんなに綺麗な顔を描かないわけにはいかなかった







それに私に残された時間には限りがある




なら、少しでも何か残したい





それが例え湊くんを悲しませるものでも…






ごめんね、少しでいいから記憶に残りたいの







そんな思いをいっぱい詰め込みながら描いていく









絵を書くのは楽しくて時間なんてどんどん過ぎていき、




夜が明けるまで描いていた





< 188 / 225 >

この作品をシェア

pagetop