クローバーの約束。
story>>6
大切な栞
あれから数日後
湊くんを描き続けて、ようやく今完成した
「で、出来たーーっ♪ゴホゴホッ」
我ながら凄くいい出来だと思う♪
私が自分の描いた絵を見て1人微笑んでいると
コンコンとドアをノックされた
「はーい?」
「俺、入るぞ」
「冬織くん?どうぞー」
急いでスケッチブックを隠して冬織くんが入ってくる
冬織くんが一人で来るなんて珍しい
「どうしたの?」
「え?お見舞いだけど」
「冬織くん一人なんて珍しい」
「一人で来ちゃダメなのかよ」
「そうじゃないよ!」
冬織くんは初対面だと怖いと思う
こんな感じの言い方しか出来ないから
「ちょうど良かった
頼み事その1が出来たの」
「あぁなんだ?」
私はさっき隠したスケッチブックを取り出し
冬織くんに差し出す
「これ、私にもしものことがあったら
湊くんにあげて?」
そう言うと、弾かれたように私を見た冬織くん
そんな顔しないで
いつものポーカーフェイスでいてよ
「なんだよ…それ」
「お願い
冬織くんにしか頼めないの」
「……俺だって湊と同じ気持ちなのにな」
小さくボソッとつぶやいた冬織くんの言葉は
よくわからなかった
でもとても悲し気で
申し訳ないな…って思う
「ごめん…お願い…
これだけじゃないけど、今はこれ」
冬織くんにしか出来ない
冬織くんにしか頼めない事
お願いだから拒まないで…
そう願いながらしばらくのあいだ見つめあっていると
フッと冬織くんは笑った
「わかった」
よかった…
ありがとう冬織くん