クローバーの約束。
「はい、りんご飴」
一足先に着いていた手嶋くんがりんご飴を買ってくれる
りんご飴…
これは思い出だ
思い出したくない思い出
大丈夫大丈夫
今隣にいるのは手嶋くんなんだから大丈夫
「もうすぐ花火だぞー
って、気分でも悪くなったー?」
りんご飴に口を付けないまま
思いを吹っ切ろうとしていると
手嶋くんは顔をのぞき込んでくる
「人混み酔い?
ちょっと離れたとこから見よーかね」
人混み酔いだと勘違いして先を歩いていく手嶋くん
なんだかいつも先を歩いていくなぁ…
それにしても深く追求してこない
そういうとこが好きなのかもしれないな…
居心地が良い
「手嶋くん」
「んー?」
「りんご飴ありがとう」
「おー」
お礼を言ってカリッといい音を立てて食べてみる
美味しい
甘くて美味しいなぁ…