ドッペル・ゲンガー
　一度目の事を警戒して携帯を少し離して耳を傾けると、さっきと同じようにコール音が途切れた後、不快な音がうっすらと聞こえてきた。

　携帯も駄目なのか……

　携帯なら停電の影響を受けないと思っていたのに、結果は俺の考えを否定していた。

　それにしても静かだな。

　雷でも鳴っているのかと思ったけど、それどころか室内は静まり返っていた。

　外の様子を確認しようとリビングの窓へと歩み寄る。

　カーテンを少し開き外へと視線を伸ばすと、視界に映った家の前の通りを横切っていく人影が映った。

　道路なんだから、別に人が歩いていたっておかしくない。

　けれど、俺は何だか無性にその人影の事が気になった。

　家の異変は一旦保留して俺はそのまま玄関へ向かうと外に出た。
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表紙・目次

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