ドッペル・ゲンガー
 門を通り抜けて、人影が向かった方向へと視線を伸ばす。

 すると、数十メートル先の角を曲がろうとする人影の姿が視界に映った。

 説明しようのない好奇心が俺の足をその方向へと動かす。

 少し距離があったので、見失ってしまわないように俺は小走りでその後を追った。

 十秒としないうちに角へと追い付いた俺はその先を注視する。

 さっきから辺りがやけに暗い。

 だが、今は目の前を歩く人影の方に意識が注がれていた。

 ようやく追い付いたと思ったのに、前を行く人物はまた数十メートル先で角を曲がった。

 見た感じ、そんなに早く歩いている様子はない。

 なのに、俺との距離はあまり縮まっていなかった。

 不思議に感じながらも、今更感の前に俺はまたその後を追ったーー
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