ドッペル・ゲンガー
 おかしい。

 俺がそう感じ始めたのは、四度目の角を曲がったあたりから。

 さっきからずっと小走りで後を追っているのに、その差は一向に詰まる気配がない。

 まるで瞬間移動でもしているかのように、俺が手前の角を曲がると、向こうも一つ先の角を曲がる。

 まるで永遠に追い付けない鬼ごっこでもしているような気分だ。

 じれったい気持ちを抑えつつ、俺は五度目の角を曲がった


 まただ……

 そいつはまたしても俺が角から顔を覗かせると、その先の角に姿を消した。

 この方向って……

 そこで俺はふと気付いた。
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