ドッペル・ゲンガー
 学校……?

 よく見てみれば、それは俺がいつも高校に通う時に歩いている道だった。

 しかも、学校まではあとわずかの距離まで来ている。

 追いかける事に夢中で気付かなかったけれど、家から結構のところまで来ていたんだ、と今になって認識した。

 もしかして学校に向かっているのか?

 いよいよ好奇心がピークに達すると同時に、俺は少し冷静に考えた。

 不審者かも知れない。

 決して追い付けないくせに、こうもタイミング良く俺の視界の届く範囲で前を歩き続ける人物。

 縮まらない距離に関しては一体どうやっているのかは分からないけれど、少し冷静に考えてみれば何となく誘導されているようにも見えなくはない。

 どうする。

 芽生えた躊躇いの感情が俺の足を止めた。
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