ドッペル・ゲンガー
 向こうが一体何を考えて歩いているのかは分からない。

 偶然という事も考えられるが、もし何か意図しての事だったら……

 嫌な想像が脳裏をかすめた。

 それでも行くしかない。

 どうせここまで追ってきたんだ。

 何かしら納得のいく結果は欲しかった。

 俺は再び足を前へと運ぶ。

 少しの間立ち止っていたにも関わらず、次の角を曲がると、またそいつはタイミング良く先の角に姿を消した。

 これはもう何かあるに違いない。

 俺は確信を得た。

 もしかしたら急に襲われるかも知れない。

 そう思わせるほどに不審さは充分だった。

 ただ、もし何かあっても、長年スポーツで鍛えてきたこの体だ。

 何とかなるだろう、と俺は高を括っていた。

 そしていよいよ次が学校までの最期の曲がり角。

 俺は意を決して角を曲がったーー
< 106 / 147 >

この作品をシェア

pagetop