ドッペル・ゲンガー
 「はあっ……はあっ……」

 短時間で二度目の全力疾走。

 一分ほど経っても呼吸が整わないのは、走った事だけが原因ではない。

 わけの分からない状況で、自分に襲われるというシチュエーション。

 それだけでも相当混乱していたのに、私ともう一人の自分だけしかいないと思っていたところに、突然大吾が姿を現した。

 おまけに、志乃と透もこのよく分からない状況に巻き込まれているらしい。

 いろいろと疑問があり過ぎて、どれから考えていけば分からなくなっていた。

 とにかく、大吾の言葉によると、志乃と透、二人と合流しろって事だったけど……

 近くにいると言われても、二人が今どんな状況かも分からない。

 私と同じような目に遭って逃げ回っているのか、それともどこかで身を潜めているのか。

 あまりにも情報がなさ過ぎて私は途方に暮れていた。
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