ドッペル・ゲンガー
 何となくそちらへと体の向きを変える。

 そこには一人の男が立っていた。

 俺は怪訝な眼差しをその男へと向ける。

 少し距離があるのと、この暗闇のせいで顔はよく見えない。ただ、俺が警戒心を強めたのは、その男の手には鉄パイプのようなものが握られていたから。

 さっきの音はあれか。

 視線は逸らさないまま、重たい沈黙に俺は息を飲んだ。
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