ドッペル・ゲンガー
「はあっ、はあっ……っは……!」

 公園のベンチで、俺は激しく狼狽していた。

 もう、追ってきてないよな……

 注意深く辺りを見渡す。

 どうやらうまく撒けたようだ。

 とりあえずここなら見晴らしもいいし、早めに手を打てる。俺は見つかりやすくなるデメリットよりも、見つけやすくなるメリットを優先した。

 何だったんだ、あいつ……

 徐々に呼吸も整ってきたので、俺はさっきの出来事を振り返った。
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