ドッペル・ゲンガー
 絶対にあり得ない……

 自分がいきなり殺されかけた事よりも、俺はあの男の存在自体に驚愕していた。

 だってあの顔はーー

「わけ分かんねえよ!」

 激しくベンチに打ち付けた拳がひりひりする。改めてこれが夢ではないと思い知らされた。

 とにかく、誰か捜さないと……

 あ。

 ポケットに入れていた携帯の存在を思い出す。

 まずは警察に通報だ。

 この異常な事態も問題だけど、わけの分からない奴に命を狙われている事。そっちの方が今は問題だ。
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