ドッペル・ゲンガー
「お前……誰だ……?」

「……」

 急に背筋が冷たくなる。

「おい! 誰だって聞いてんだよ!」

「……あーあ。バレたか」

 悪戯を咎められた時の子供のような無邪気な声が俺をぞっとさせた。

「何で……」

「とりあえずさ、そっち行くから。場所、さっさと教えてくれよ」

 くそっ……

 携帯をポケットに捻じ込んで俺は再び走り出していた。

 どこに行けばいい?

 安全な場所は……

 次々と通り過ぎていく民家は、どれも明かりが点いていなかった。車どころか、人ともすれ違わない。途中横目に捉えたコンビニだって、店内は真っ暗だった。

 何がどうなっているのか。

 考えれば考えるほどに頭が混乱してくる。
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