ドッペル・ゲンガー
「まーたおサボり大吾が美咲にたかってる!」

 派手な化粧に無駄なテンションの志乃が、今日もけらけらと笑いながらこちらに向かってきた。

「あんたさ、いい加減真面目に授業受けなって? 毎回毎回美咲に頼って。何? 美咲の事が好きなわけ?」

「うっせ」

 一際大きな志乃の声を払うように、俺は手の平をひらひらと振った。

「あ、ノリ悪。授業は不真面目でノリは悪い、あんたさ、何か一つぐらいは頑張りなさいよ」

「ほっとけよ。お前だってまともに授業受けてないだろ。携帯ばっか弄ってんの、丸見えだからな?」

 四六時中携帯を弄って、一体何をしてるのか。

 俺は呆れて溜息をついた。
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