ドッペル・ゲンガー
「私はいいの。どうせ高校卒業したら働くんだから」

 べっ、と舌を出す志乃。

「お前は能天気でいいよな。ほんと、羨ましくなるよ」

「ちょっと待った! 誰が能天気なのよ? 私はちゃんと目標があるの。あんたみたいにだらだら過ごしてるわけじゃないんだから。一緒にしないでよね」

「あっそ。それはご苦労様」

 いつもと大して変わらないやり取り。

 目標か。

 言われてみれば、今の俺に目標と言えるようなものはないな。

 別に図星というほどではなかったけど、そろそろそういう事も考えないといけないのかも知れない。
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