ドッペル・ゲンガー
 志望校か。

 大吾の言葉を思い出す。

 まだ早いと思っていたけど、そろそろ考えとかないといけないのかな。

 宙に視線を泳がせながら、一年、二年先の自分を思い浮かべる。

 当たり前のように受験して、そして当たり前のように大学に進学して。

 勉強はそれなりに真面目にしていたので、受験戦争に自分があぶれる事はないだろう。

 高校での三年間の学生生活を終えたら、今度は大学での四年間が始まる。

 志乃は高校を卒業したら働くって言ってたけど、大抵の人は高校を卒業したら大学に進学するのだろう。

 景気がどうとかは全く分からないけど、親や周りの人が言うには今の就職難の時代、最低でも大学は出ておきなさいって何度も念を押されていた。

 高校を出てからすぐにやりたい事があるわけでもないので、一応首を縦には振っているけど、だからといって大学に進学してやりたい事も、正直今の自分にはない。
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