ドッペル・ゲンガー
 人生の最低限の滑り止めか。それとも、その四年間の猶予を使って本当に自分のしたい事を見つけていくのか。

 今年で大学二年生になった従兄からは、「大学生活はいいよ」なんて言われたけど、高い学費まで払ってその程度の感想しか抱けないところに果たして通う意味があるのか。

 こんな事を他のクラスメイトにしたら、きっと考え過ぎだなんて言われるんだろうな。

 みんながそうするから自分もそうする。周りの人が全員そういうつもりではないんだろうけど、結局のところそういう事なんじゃないかと私は考えていた。

 少しでもいい大学に入って、少しでも安定した職業に就く。もちろん、自分の将来を決めるにあたって、選択肢は多いに越した事はない。

 私だって苦労する人生を送りたいわけじゃない。だけど、私にはそれが大学進学とどうしても結び付かなかった。

 精一杯自分の目標に向かって努力をして成功している人なんて、世の中にはたくさんいる。

 学者だとか研究者、評論家とかだったら学歴なんかがクローズアップされる事はテレビなんかでも良く知っているけど、私は別にそういう人になりたいわけじゃないし。

 学歴はあくまでステータス。言わばスタートラインが他の人よりも少しだけ有利になるだけ。

 本当に自分の望む人生を送れるかは、やっぱりその人自身のやる気や努力に大きく左右されるんじゃないだろうか。
< 42 / 147 >

この作品をシェア

pagetop