ドッペル・ゲンガー
「はい、席つけよー」

 短い休憩時間が終わり、次の教科の担当がのそりと教室に入ってきた。

 くだらない会話も一段落。俺達はだらだらと自分の席に戻った。

 大山は教室内を一瞥すると、大した前置きもなく授業を始めた。

 コツコツ、とチョークが黒板に当たる音が早速響いてくる。現代社会の大山は板書が多いので有名だ。

 書く量の割に消していくペースが早いもんだから、真面目に書き写している奴からしたらたまったもんじゃない。

 俺はとっくの昔に手を動かすのを放棄している。

 大して授業にも身が入らないので窓の外へと視線を移した。
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