ドッペル・ゲンガー
「じゃあ、お先に失礼します」

 声をかけると、店長はバイトの子から連絡が入ったのか、インカムに何やら指示を出しつつ、私には手だけで返事を返しながら地下へと消えていった。

 外に出ると少しむっとした空気が体にまとわりついた。

 通学鞄を肩にかけ直し、私は歩き出す。

 平日だというのに、辺りは行き交う人で賑わっていた。

 その人達の間を縫うようにして、私は駅へと向かう。

 私もたまには友達とご飯食べに行きたいな。

 単にバイトのシフトを抑えればいいだけの話だけど、そう簡単にできる事でもない。

 私は高校を卒業したら家を出るんだから。

 ちゃんと就職したら、ちょっとは余裕出るかな。

 改札を抜けると、タイミング良く滑り込んできた電車に乗り込んだーー
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