ドッペル・ゲンガー
 真夜中って、こんなにも暗いもんなのかな。

 深夜に外を出歩く事なんてないので、これぐらいの時間帯の外の状況がどうかは知らないけど、異様に辺りが暗いように感じた。

 よく観察してみると、街灯や自動販売機、その他民家に設置された光を発しそうなものはどれもことごとく光を失っていた。

 何これ、停電……?

 理由は分かったけど、原因が分からない。

 けれど、現実的な原因を考えるなら、停電と考えるのが一番合っていそうな気がした。

 まさか、変な世界に迷い込んだとかない、よね……

 突拍子もない考えだとは思ったけど、それぐらい辺りは静まり返っていた。

 まるで、自分だけが取り残されてしまったような、そんな感覚。

 女から逃げたはいいけれど、今度はまた別の恐怖が込み上げてきた。
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