ドッペル・ゲンガー
 迷惑だろうけど、仕方ないか……

 私は近くの民家へと向かった。

 一瞬躊躇したけど、今はそんな事を言っている場合じゃない。

 意を決してインターフォンに手を伸ばした。

「あ、あれ……」

 カチカチ、と何度かボタンを押してみる。

 けれど、期待した音は一向に鳴らなかった。

 やっぱり駄目なの?

 私は思い切って隣の家のインターフォンを押す。

 駄目だ。

 すぐに気持ちを切り替えてまたその隣へーー
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