ドッペル・ゲンガー
 俺が所属するF高サッカー部はそこそこの強豪だ。

 県大会でも決勝トーナメントでは常連だし、過去にも何度か優勝を経験した事のある学校だった。

 部員も七十人を越え、新入生の間では結構人気の部活だ。

 今年もまずは夏のインターハイ出場に向けて、練習のピッチも上がっていた。

 俺はまだ二年に進級したばかりだったけど、日頃の努力が実を結んで、このチームのエースを務めていた。

 試合では、俺が相手ディフェンダーを一人かわすごとにベンチで応援してくれる仲間が声を上げてくれる。

 ゴールを決めれば、ピッチに立つチームメイトは満足そうにハイタッチとともに褒めてくれた。

 表面上は謙虚に対応しているけど、内心ではやはり嬉しかった。

 勉強だってそう。

 日頃から予習復習をしっかりとやって、テストでいい結果が出れば、親はまるで自分の事のように喜んで俺の努力を褒め称えてくれていた。

 俺は常にトップクラスじゃないといけない。

 周りの期待に応え続けないといけないーー
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