ドッペル・ゲンガー
 うちの親は特別教育熱心というわけではなかった。

 歳が二つ離れた兄が一人いるけど、絵に描いたような賢兄愚弟の兄弟というわけでもない。

 今年大学に進学した兄だけど、通っている大学はごく普通の偏差値の大学だった。

 それについて親もとやかく言った事は一度もない。

 だから、あとは俺の気持ちや考え方一つなのだ。

 けれど、小学生の頃から染みついた物の見方はそう簡単に変えれそうになかった。

 もう降りてしまいたい……

 ……まだ降りるわけにはいかない。

 俺の複雑な感情はいつもこの二つの間で不安定に揺れていたーー
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