夜空の琥珀~名前は○○の代名詞~
たとえ生きる時代や国が違っても、かけがえのない存在であることはみんな同じ。
偉人だからと構える前に、ひとりの人間として、その人を知ろうとしなさい。
不思議なことに澤山先生の声が聞こえた。
一見大げさな気もしたけど、妙な納得感もあった。
「なるほど。それで、どうして若葉くんが私の名前の由来を知ってるの?」
「昔、セラちゃんのお父さんが自慢げに教えてくれた」
「実の娘そっちのけで!?」
天狗になってふんぞり返っているお父さんが嫌でも想像できたから、頭を抱えた。
「うわぁ! どうしよう恥ずかしすぎる……そ、そうだ! 若葉くんの名前の由来は?」
「……さぁ? 忘れちゃった」
「なにその間。絶対ウソだ!」
「うん。だって言いたくないもん」
「ひどい! 若葉くんだけ言わないなんて不公平だよ!」
抗議の意味を込めてずいっと身を乗り出すと、若葉くんが気圧されたようにうろたえる。