濃紺に染まる赤を追え。
少し申し訳なくて俯くと、空気がふわりと揺れた気配を感じる。
リボンを何とか外そうと必死な指先に、不意に温かな手が重なり、顔を上げた。
「風邪引くよ」
先生の優しい声。
拭いてもらったばかりの頬にぽつりと涙が落ちる。
悲しいわけじゃない、嫌だったわけじゃない。
ただ、他の子にもやっているであろうことをされただけで、こんなにも動揺している自分に混乱したんだ。
「ほらほら、手伝うから、早く着替えちゃいましょ」
結局、泣きっぱなしだったわたしは、ほとんど先生に着替えさせてもらうような形になった。
いつの間に、こんなに涙腺が緩くなったのだろうか。
そう疑問を抱きつつ、寝てなさい、と言ってくれた先生の言葉に甘えてベッドに潜り込んだ。
明日になったら、またちゃんと探しに行けるように、と願いながら。