濃紺に染まる赤を追え。
ぽたり、ぽたり。
雑誌の中で笑うモデルさんたちの顔が歪んでいく。
ひとつ、ふたつ、紙上に大きなシミを作る。
「ご、ごめ……、」
カッターシャツの袖を伸ばし、落ちた雫を拭う。
その間も絶え間無くシミは増えていき、さらに拭ったシミは広がっただけだった。
ナミさんのものなのに。
怒らせちゃうな。
そう覚悟したとき、頭上から降り注いだ大きな溜め息。
顔を上げてナミさんを見れば、差し出された手。
「……ちょーだい」
「え?」
「弁当。あんたが食べないなら、全部もらうから」
さっさと出せよ、と付け足された言葉。
もはや強盗だ。
そう思いながらも、苦笑いでお弁当を渡すわたし。
すると。