濃紺に染まる赤を追え。
「う、わ」
ぐいっと顔面に押し付けられた雑誌。
いきなりのことに、色気の欠片もない声が出る。
顔全面を覆いつくすそれに、戸惑ってどうすべきか考えていたら。
「そんな幸薄い顔、ナミに向けるとかまじないから」
ぼそっと、吐き出された言葉。
不器用すぎるその優しさに、堪え切れずに溢れ出す。
「……ありがとう、ナミさん」
雑誌で顔を隠しながら呟くと、声はくぐもって響いた。
桐谷。
もう、探しに行かないよ。