濃紺に染まる赤を追え。
「……走ったら、大丈夫かな」
もう一度窓の外を見やり、呟く。
しとしと、しとしと。
雨音は、静か。
今のうちに早く帰ってしまおう、と廊下を小走り。
下駄箱に着くと、たったそれだけで息切れしていて、体力の衰えを痛感する。
肩に鞄を掛け直し、自分のローファーを取り出しかけて、ふと外に目を向けたときだった。
「――……っ!」
出しかけたローファーは、下駄箱に再度投げ込んだ。
がたっと不自然に大きな音がしたけれど、気にしている暇はない。
信じられないものと、目が合ってしまった。